最近見たドラマから連想して思い出した話。
今から40年以上昔 当時18才か19才の頃の出来事。
高校時代に応援団の同期で仲の良かった友人M君。
大学ではM君は応援団 私は柔道部に所属しており所属は違っても相変わらず仲は良かった。
そのM君が地元の先輩の紹介で新宿のディスコでバイトを始めた。
ビルの中にある小さなディスコで時給が高く仕事も楽だと楽しそうに教えてくれた。
そこのマスター(店主)にM君が私の事を話したところ Mの友達なら来てれたら好きなだけ飲んで食事も好きなものを無料でご馳走するよ と言ってくれたらしい
そんな話を聞いたら行かずにはいられない。
ただし 必ず学生服着用で来いとの事。
おしゃれなディスコは学生服なら入店を断られるのに何故か学生服を指定とはなかなか太っ腹。
当時武道系の学生は皆いわゆる応援団風の学ランを着用しており私もそんな格好で一人新宿へ
これが当時の学生服姿
今でこそ新宿二丁目と言えばゲイのメッカで有名だが昔はそんな事を知っている人は少なかったと思う。
教えられた伊勢丹デパートの裏手 新宿の二丁目か三丁目の路地を入ったビルに入居しているそのディスコは女性入店禁止の男らしい硬派なディスコ。
そう ゲイ専用ディスコ 昔はゲイなんて言葉は一般的ではなくホモなんて呼ばれていた。
中は20坪位の小さなディスコで入るとすぐマスターが気がついてカウンターに案内される。
タダ飯だからカウンターの端に座ろうとするとマスターからカウンターの真ん中に座らされる。
常連ばかりの店らしくマスターが客にM君の友人だと私を紹介してくれる。
すぐ出てくるビール
一気に飲めばすぐに次のジョッキが出てくる。
ピザやらポテトやら色々つまみも出てくる。
ビールに飽きたら今度は水割り
カウンターの隣にも入れ替わり立ち替わり色々な人が座る
みんなフレンドリーに話しかけてくる。
特に柔道部というのにみんな食いついてくる。
でも 音楽がうるさいのであまり話は長くならなくて助かる。
少し酔ってくると学生服が苦しくなる。
硬派の学ランはカラーが高いから首が苦しくて下を向けない。
脱ごうとするとマスターから学ランは脱がないでと注意が入る。
まぁそんなもんかと学ラン姿で飲み続ける。
周りを見回すと男同士で見つめ合いながら踊る人や壁面の鏡に映った自分の姿を見ながら踊る人。
酔っているからそんなに気にならない。
ものすごく歓待されて全部タダ。
気持ちよく酔っているとL型のカウンターの短い辺に座っているプロレスラーみたいな体格の男が私をジッと見つめている。
顔つきはフォークシンガーの三上寛そのもの
怖い
本当に怖い
いわゆるケンカの前哨戦のガンをつけるとかじゃない熱い視線
目があって急いで逸らすも相手は動じないでジッと見つめてくる。
これはマズいと逃げるように店を出てしまった。
マスターはまた来てくれたらタダでいいから是非おいでと優しく言ってくれたが もう行けない。
怖い。
今考えるとゲイの人にとって
角刈りで学生服の柔道部員はご馳走だったのだろう。
例えばオヤジしかいない飲み屋にセーラー服の女の子がひとりで座っていたらどうなるか?
それと同じ事だったのだろうと思う。
入れ替わり立ち替わり隣に座って飲んでいた人は口説こうと思っていたのだろう。
でもチークに誘われたって男同士で踊りたくないじゃない。
悪く考えると 間髪入れずに出てくる酒も酔い潰すためだったのかもしれない。
今考えるとよく一人でゲイでもないのにそういう店に行ったと思う。
それはゲイの人にとってとても失礼な事だったかもしれない。
本当に馬鹿。
そして あんなにモテたのは後にも先にこの時だけ。
女性にモテたかったなぁ