遠い昔の話
今から34年前に結婚した
結婚式の翌日新婚旅行として沖縄へ
新婚旅行の沖縄を堪能して帰り自分用のお土産として泡盛を2つ買った
1つはシーサーの形をした。陶器の入れ物に入った。ちょいといいやつ
そしてもう1本は普通の四合瓶
買う時にかみさんと冗談で
そのうち子供が出来て その子が結婚したら一緒に飲もう
まだ結婚したばかりで二人で新居に入る前の会話だからまるで遠い未来 夢のような話だった
そして時は過ぎ 本当にその日がやってきた数年前に長男が結婚式をあげたのだ
もうその頃にはシーサーの容器に入った泡盛はただの置物となっていた
その中に泡盛りが入ってるという意識もなく、ただリビングに置かれていた
長男の結婚式後ふとこれは泡盛だと思い出す
買った時の会話も思い出す
今開けずにいつ開けるのか!
買った時に10年物の古酒だったが、その後約20数年経過しトータルで30年物以上になっていたはず
ウィスキーは樽の中で熟成させるが
泡盛は瓶の中でも熟成が進むらしい
いざ開けようとすると、やけに軽い
さらにフタのコルクがぐずぐず
無理に開けようとしたらコルクが崩れて一部が内部に落下
グラスに注ごうとすると、中身が1/3ぐらいになっている
そうか、ウイスキーは樽で熟成させると一部が蒸発すると聞く
これを天使の取り分と言い慣わすらしい
この泡盛も長い年月 容器の中でゆっくり熟成されて天使が泥酔するぐらい取り分があったのかもしれない
グラスに注ぐと少し濁って見える
期待に胸が震える
飲んでみたらアルコールが全て飛んでただの水
それもちょっと臭い腐った水
意地もあってグラスに一杯分は飲んでみた
当然だけれどもただの腐り水だから美味しくない
翌日猛烈な腹痛と下痢
そして容器はまた置物へと戻った
そして先月次男が結婚式を挙げた
まさにもう1本の4合瓶を開けるタイミング
ではないか!
銘柄は首里城絵巻
これを買った時は首里城は再建途中だった
そして首里城は再建の後火災で消失してしまっている
それだけ考えても時の流れの速さを感じる
ラベルに沖縄三越40周年記念と書いてある
沖縄三越もなくなってしまったんだよな
製造年月日は記載されていないが10年古酒である
購入から34年 40年物の紛れもない古酒である
恐る恐る瓶の蓋を開けてみる
瓶のキャップにかぶせたプラスチックはボロボロである
瓶の中を空かせてみればきちんと透明だ
中身も減っていない
恐る恐る飲んでみる
美味しい!
でも怖い
前回の下痢は本当にきつかったからね
今回は様子見として5杯ほどでグラスを置いた
確かに美味しいんだけれども、美味しさの中に怖さが潜んでいる
江戸時代にフグを食べてた人はこんな気持ちだったのかもしれない
当たったら怖いし。でも食べたいし
その後、お腹を壊すこともなく無事である
まだ2/3ぐらい泡盛は残っている
息子二人の洋々たる前途を祈念しながらこれからチビリチビリと古酒を楽しもうか!