今週の週刊現代 特集「有名人がすすめるGWに読むべき本」で映画の周防正行監督が
広瀬正 著「マイナス・ゼロ」をあげている。
よくぞこの古いSF小説を取り上げてくれた!
流石だ 周防監督!
この小説を薦める人が居ることが個人的に嬉しい。
この小説1970年に刊行され直木賞候補にもなった名作である。
広瀬正はハインラインの「時の門」に触発されて時間物の素晴らしい小説を何本か書いているが1972年に急逝してしまう。
この「時の門」はとても難解で一読では理解不能
メモを書いて時系列を整理しながら何回か読む必要があるが広瀬正短編集に「時の門を開く」という考察の短編があり、それを読むと何となく理解できたような気になる。
広瀬正の小説なかでもこのマイナス・ゼロは日本のタイムトラベルのジャンルの最高峰であると私は思っている。
色々なタイムパラドックスが仕掛けられていてる上に小説としても良くできている。
残念ながら日本のタイムトラベル小説でこれを越える作品に私はまだ出会っていない。
自分の親が自分であった等のエピソードはハインラインの輪廻の蛇(映画 プリディステネーションの原作)から大きな影響を受けて更にそれを上手にアレンジしてある。
ついでながら広瀬正の「エロス」という小説も一人の女性(モデルは淡谷のり子)がヌードモデルをやるかやらないかで第二次大戦で日本軍の勝敗が変わってしまうという実に面白い作品である。
このどちらかの小説を周防監督に映画化してもらいたい。
周防監督の感性ならば日本を代表する名作が出来ると思う。